「君と君がカップル?」雌雄で似ている種もいますが、姿形からでは、全くカップルと結びつけられない種も多くいます。その違いがハエトリグモを撮り始めた頃の楽しみの一つでもあり、悩みの種でもありました。そんな不揃いなカップルの姿をお楽しみ下さい。
説明文は写真を見た印象から撮影者本人の経験を交えての文章ですので、見当違いな部分も多々あると思いますが、ご了承ください。
ブラウザサイズによって位置が変わります。左(上)がオス、右(下)がメスです。
草木の生い茂る場所で盛夏に見かけることが多い。雌雄で似た容姿。3-4mmほどの大きさで、スリムな体型だが、オスの方がやや小さく、より濃い色合い。触肢の形状と色合いの違いが雌雄を区別するポイントのひとつ。雌雄ともに腹の背に模様がある。右(ブラウザのサイズによっては下)のメスは「山」と「谷(?)」のような漢字に見えなくもないが、この模様は一様ではない。小型なハエトリで個体数も多くないせいかあまり見つけることができない。歩いている姿は第一脚が長く、脚を前方に突き出し歩いている姿が印象的で、その姿はパッと見、ウデブトに似ている。飾り毛と鋭く長いトゲが生えているところもウデブトに似、一瞬区別に迷うこともあるが、マツモトの方がスリムなので、注意深くみれば、混同しないで済む。
体長は6〜7mm程度。
林や草地など、屋外では最も目にすることの多いハエトリグモ。5-6月のアジサイやツツジが咲く季節には、葉上や花の中で見つけることが多い。写真に写る個体の多くは、公園の手すりや柵の上などを移動中に捕獲してきたもの。
オスは黒い地肌に黒い毛、真っ黒な姿をしていて、メスに比べて足が長くスリムで精悍な印象。オスの姿は4〜6月の春先以外に見たことがないが、その季節には一番多く見かけることができる。メス(もしくは亜成体までの幼体)は1−3月初旬以外は年間を通して目にする。メスは赤みを帯びた褐色の地肌にベージュと朱色の毛が混じった毛で覆われている。上顎は黒。目の周りの"まつげ"は体毛と同じベージュと朱色の毛が縁取っている。マミジロのメスとネコのメスと見分けにくいが、上顎が黒であればネコハエトリのメス、上顎が褐色だったら、マミジロのメスと判断している。屋外で確認するのは難しいが、後中眼下の密集した黒い毛の有無でも区別できる。
2016年初見。
未だにオスの個体ただ一頭。探すところが偏っているのか、あまり見つけられないが、見つけた時の興奮といったらない。ケニアで撮り逃したヒョウがいたのだが、その時の興奮と変わらない。
体長は4mmに満たない程度の小型のハエトリだが、存在感はその派手ないでたちでハエトリ随一だと思う。黒い地肌に灰色の毛、その灰色にまばらに鮮やかなオレンジ色が混ざり独特の色合いを醸し出している。脚と触肢はオレンジ色。第一脚の先は黒く、飾り毛ともなっており、先端は靴下を履いたような白。上顎は黒。多くのハエトリファンを魅了して止まない魅惑の種。
多くの人が撮影に苦労していると聞くが、一度落ち着かせると、多焦点合成でも比較的いいモデルさんの部類に入る。
笹の生い茂る日当りの良い場所で良く見かける。春先は日向ぼっこなのか、ちょこんと葉先の上で佇んでいて、時に首をかしげこちらを見るので悶え死にそうになる。
体長はオスが5-7mm、メスが6-8mm程度。オスの頭胸部は黒い地肌に黒い毛で覆われているが、その和名の通り、眉白で一文字の白い毛が前中眼と前側眼の上に眉のように通り、触肢先端はベージュの毛で覆われ、チアリーダーのボンボンを持っているかのようで、それを振られるとさらに萌える。眼の周りは赤く、"マツゲ"も赤だが、眉白の一部が"マツゲ"の一部をなす。腹部の背側は触肢の"ボンボン"よりやや濃いめの薄茶色。一方のメスは赤褐色の地肌にベージュと赤、オレンジ色の混毛で覆われ、脚は地肌が見える程度の薄さで、地味な印象。ネコハエトリのメスと間違えやすいが、ネコハエトリは上顎が黒いのに対して、マミジロのメスは赤褐色,後中眼の下に密生した黒い毛、また、頭部の毛に長く白い感覚毛が生えているところが見分けるポイント。3-10月頃まで長い期間見かけるが、一番よく見かけるのは5月。この時期は雌雄共に繁殖期のようで活動的。
体長は3-4mm程度。
近くに草の生える適度に隙間のある石垣などで見つけることが多い。ハエトリグモの中では3-4mmと小型だが、その太い腕の印象からカラスハエトリと並び無骨さではハエトリ随一の容姿。雌雄とも黒い地肌に鳥の羽のような形をした金色の毛がまばらに生え、腹部背側には同色の毛で「への字」のような模様が見られる。その名の通り体の割に腕が太く、且つ全長と同程度の長さ。雌雄とも飾り毛を持つがオスの方が立派に見える。顔に占める目の大きさが大きいことも特徴の一つ。オスの触肢は白い毛で覆われているが、メスのは透き通った赤褐色で華奢な作り。歩脚はオスが赤褐色なのに対し、メスは触肢と同じ透明感のある薄茶色。前側眼と後側眼が他のハエトリに比べやや大きめでともに同程度の大きさ。小さいゆえ、なかなかお目にかかれないが、個人的には見かけるとテンションが上がる種である。
体長は6〜7mm程度。
最も身近なハエトリグモと言える種で写真に写るこの種は全て自宅内に出てきたもので、部屋の中とは言わないまでも、建物周辺に生息していると思われ、大抵は垂直な壁面で見つけることが多い。4~12月まで時期を問わず、出没する。
人の家にずかずか入ってきて傍若無人に好き勝手に振舞う割には、捕まえて、いざ、撮影になると、最も神経質で、おとなしく撮らせてくれたことがない。特にオスは運動量も多く、壁系に生息する種の多くがそうであるように、花の上に乗せると下に飛び降りるタイプで、その度に床に這いつくばり、目を凝らして探さなくてはならないので、撮影には苦労させられる。
オスは腹の背前方に三日月の白い模様と後方に白い斑点が二つ左右対称に並び、頭胸部後方にはカチューシャを後頭部に巻いたような白い筋があり、白い毛に覆われた触肢が特徴的。正面から見ると上顎は赤褐色で控えめな大きさ。おちょぼ口っぽい。赤い"まつげ"が目の周りを縁取っている。地肌の色は赤みを帯びた褐色で、体の大部分を黒い毛が覆っている。
メスはオスよりやや大きめで全身をベージュの毛をまとい、腹の背側には二段の矢じり模様がこげ茶色に縁取られ、後方に向かっているのが特徴。
雌雄共に同じ外観で地味な色合いなのが特徴で、肉眼で区別するのが困難だが、触肢の形状の違いで判断できる。
黒い地肌に金色の毛、足には縞模様。体長は3-4mm前後でハエトリの中では小型。
春先によく見かける。日当たりの悪い林に囲まれた石垣や割れ目のある木の杭などの人工物周辺で見つけることが多いが、地味な姿形に加えて、激しく動き回るタイプではないらしく探しそうと思うとなかなか見つけられない。
日本にいるハエトリ界きってのオシャレさん。パッと見は雌雄で同じ赤とベージュのクワトロールの華やかな色合い。細い違いは、オスは黒い地肌に対し、メスは赤褐色。オスは伊達者で赤い眉にベージュの毛に覆われた巨大な触肢を持つが、メスの頭胸部はオスに比べて地味な色合いに華奢な触肢。オスの第一脚には背模様と同色の飾り毛のワンポイントで粧しこんでいるが、メスは生足に近い。
オスを見かけるのは春先が多い。桜が散り始める頃、笹や草の上、また、その近くの柵の上で日向ぼっこをしている姿を見かけることが多いが、夏らしくなってくる頃にはオスの姿はめっきり見なくなる。
ススキの茂る場所で見かけることが多い。この周辺のハエトリグモの中では最も大型で、写真右のメスは実寸で12mmほどの体長だ。雌雄とも細長くスリムな体型だが、メスがやや大きい。メスは薄いベージュの地肌に白い毛。腹の背には細長い半円状の黒い帯が左右対象に前後に伸びる。それに対し、オスは黒に白い毛の横方向のストライプが入る。
林に囲まれた建物の内外の壁や松の樹皮などの日当たりのいい場所で、よく見かける。適度に隙間がある垂直な場所はシラヒゲハエトリにとっては、いざという時に身を隠すことができるので、絶好の環境のようだ。
8-10mm程度でハエトリグモの中では大型。メスの方がやや大きい。雌雄とも同じような外観だが、メスの腹の背側の縁には黒い毛が縁取られているが、オスにはない。オスはその名の通り、白いヒゲが上顎にチョビひげのように生えているがメスにはない。オスの触肢先端は黒い毛で覆われ、目の下には白い毛が繋がっているのに対し、メスの触肢は長めの白い毛で覆われ、目の下に"頰紅" のような赤いワンポイントが"女心"をうかがわせているところも外観の違いだ。
メスの撮影は多焦点合成向き。特に産卵前や子育て中のメスは触肢ひとつ動かさないので、多焦点合成の理想的なモデルとなり得る。オスは大きな体の割にはとても繊細で、比較的落ち着きがない部類に入る。
肉眼で観察していると慣れないとその名の通り、アリと見間違えてしまうほどアリに似たハエトリグモ。1,2月の越冬期以外には、ごく普通に見ることができる。都会の植え込みの中でも見つけたことがあるほど、広範囲で生息している種である。撮影で連れて帰る個体はすべて近所の同じエリアの公園である。最も活発になるのは4〜6月。この時期、他の多くのハエトリグモがそうであるように、繁殖期を迎え、多くの亜成体が成体に成長し、食欲も旺盛、さらにパートナー探しに奔走する季節。春先のアリグモを捕まえてくると驚きの連続だ。メスだと思っていた個体が、実はオスの亜成体で、ある日大きな上顎を持つオスの成体に変身していたりする。その大きなアゴをどこに隠していたのか? と思うほどの変身ぶりには、驚かされる。大きな腹を持つメスは、産卵場所を探すために移動するためか、よく手すりなどの上でバルーニングの態勢をとっていることがある。その個体を連れ帰るとほどなく、産室を作り、数日後にはたくさんの卵(栄養状態にもよるが20個前後の卵を産卵する個体が多い)を産んで、次の世代へ命を繋げていく。撮影に当たっては、落ち着きがなく、苦労する部類に入るが、疲れやすいのか、休めるところをみつけると、動かなくなる時間があるので、その瞬間が来るまで根気よく狙う。撮影する角度によっては、目が深く澄んだグリーンの宝石のように輝き、とても魅力的だ。
梅雨の時期から多くの姿を目撃することの多い種。特にオスは梅雨時期の晴れ間には、これしかいないのかと思うくらい多く見かける時期があるが、その時期を過ぎると一切見かけなくなる。メスや幼体の姿は秋頃まで見ることができる。オスは日本のハエトリ界一のアシナガで体長の2倍はあるかと思えるような長い脚を持つ。頭部と胸部の境目であるネックリング(脱皮の際、この線を境に古い殻が割れる)が前中眼下から頭胸部後部に伸びているので、見分けるのは容易だ。地肌は写真のように、やや濃いベージュ。脚の体毛は薄め、頭胸部と腹部にはベージュ色の体毛が覆っている。メスはずんぐりした体型で、地肌はベージュ、体毛はやや黄色を帯びた薄いベージュで覆われている。腹部には崩れた唐草模様のような筋が黒い毛で描かれている。雌雄ともに脚部の体毛は少なめで、地肌が露出気味。メスは透明感のある脚で、生足状態。雌雄共に性格はおっとり目だが、多くのハエトリグモがそうであるように、オスは落ち着きがなく、メスは比較的じっとしている個体が多い印象がある。
オスは親戚のメスジロのオスに似た色合いの黄色と黒のツートンカラーだが、カラーリングを反転させたような出で立ちで、顔を正面から見ると黒いマスクを被っているようで精悍な印象を受ける。蝕肢も同じ黄色だが、メスジロのオスが黄色一色に対し、当種は先端が黒い毛で覆われている。
未だにメスの個体を見つけられたことがなく、オスも今まででこの一頭だけなので、あまり多くは語れないが、見つけるとカタオカかメガネアサヒかというくらい近辺の採取場所ではレアな部類に入る。もしかしたら、探す場所を間違えている可能性もあるので、なんとも言えないが、もともとの個体数はあまり多くないのかもしれない。
雌雄ともに春先から初秋まで草木の上、または草木に近い柵、杭などで多く見かける。メス7オス3くらいの割合で見つけることが多い。エノキの木が生えるところで多く見かける感が強いが、詳細は不明。
オスはハエトリ随一のダンディさ。長い"マツゲ"に黄色いマスタッシュが特徴で、装いも鮮やか。頭胸部は黒と黄色を帯びたクリーム色のツートンカラー、腹部も同色で黒い毛のストライプが走る。日本のハエトリの中では、もっとも目立つ部類に入る。亜成体まではメスと同じ姿形なのに成体に脱皮するとこの姿に変身するので、アリグモのオスの変身ぶりと並んで驚かされる。一方のメスは白い毛に黒のまばらな斑点模様が散りばめられている。また、脚の各節には黒いストライプが入り、自然の中では、クモマのメスかメスジロのメスかというくらい目立つ存在である。
ハエトリの中では、7-8mmと最もオーソドックスなサイズで、肉眼でも充分識別できるサイズなので、認知度は高いと思われるハエトリ。初春からチラホラと見かけ、新緑の頃に一時姿を見かけなくなるが、盛夏を迎えると雌雄共に活発になり、秋頃まで最もよく目にする種。ハエトリきっての大食漢で獲物を選ばずに捕食している様子を林の中でよく目にする。手当たり次第に貪る、といった様子で、クモをはじめ、カメムシの幼虫、ヨコバイ、ハエなどが獲物となっている。夏の間は最も勢力を伸ばしているので、屋外で一番目撃される機会の多い種ではないかと思う。雌雄ともに同じ柄で大きな違いはないが、オスは繁殖期になるとより鮮やかな朱色の毛に頭胸部を染めて、雌の気を引いている節がある。その姿を目にするのは、毎年決まって晩夏から初秋にかけてだ。春先にはほとんどの見ないなが、目下観察している中で真っ先に謎の部分だ。
アダンソンハエトリと並んで家屋に棲み付くハエトリグモ。逆に屋外では今まで一度しか見たことがなく、それも屋根のある建物の手すりだったという、人工物との親和性が高いハエトリ。
自宅に棲みついているらしく、いつもひょっこりと出てくる。撮影後部屋の外にリリースすると、忘れた頃にまた出てくる。オスとメス、幼体も時折見つけるので、建物のどこかで繁殖しているように思える。春先から秋の終わりまで、代わる代わる部屋の壁で見つける。もしミスジハエトリに知能があったら、間違い無く、人のプライベートを最も良く知る生き物だと思う。
オスは目の周りが赤い毛で覆われていて、派手な装いで、アリグモほどではないが、正面から見たときの目が深い緑に輝くことがあり、黒目の多い日本産ハエトリの中にあって、異色の存在。メスの目は他の種とあまり変わらない。推測だが、ハエトリグモの目の色は、体を通った光が体内で吸収、反射された光が観察者側に届くため、毛色や外殻の色が目の色に影響を及ぼしているのでは、ないかと考えている。
クモを撮り始めて、2ヶ月くらい経った2013年の夏のある日黄色い脚に白い毛に覆われたクモを見つけた。調べると、図鑑に載っていないクモらしい、ということがわかった。こんな身近なところに未知のクモがいるということに驚いたことが、ハエトリグモに魅せられていった理由の一つだったが、その美しい姿形にも魅せられていった。気にかけていると2014年、ようやく「クモマハエトリ」という素敵な名前がついた。この経緯については、和名の命名者である須黒達巳氏のサイトに詳しいのでそちらをぜひご覧ください。
体長4-5mmほどの小さなクモだが、メスの白く輝く毛並みは遠くからでも目立ち、存在感は抜群だ。林に囲まれた、日当りの悪い場所でよく見かける。見つけるのはいつも同じエリアで、それ以外の場所で見たのは一度きりだ。オスの姿を目にするのは、ゴールデンウィーク前後が多く、それ以外の季節には見たことがない。一方のメスは春先から夏ごろまで、亜成体と思われる個体は、11月頃まで目にしたことがある。そして、冬を越し、3月頃になると再び亜成体らしき個体の姿をチラホラと姿を見かけるようになり、ハナミズキの咲く頃になると亜成体に混じり、成体を目にする機会が多くなる。
採取場所は都内では比較的自然の残る公園内ではあるが、絶えず人の手の入る公園なので、この先その生息地と思われる場所に工事などが入らないかが心配である。
松の樹皮や割れ目のある木の杭、看板の隙間などで見かけることが多い印象がある。近くの生息地では、あまり見かけないが、別の場所では比較的見かけることが多い。環境が大きく違うわけでもないので、一過性のものなのかどうかもう少し注意深く観察する必要がある。体長は5−6mm前後で、どちらかというと小型なハエトリ。オスは黒い地肌にマミジロハエトリのオスに似た白い眉のような毛を目の上にあるが、あまりくっきりとはしていない。歩脚の節は白い毛で縁取られ縞模様。腹部の背側は茶色と黒の混毛で覆われ、縁に沿って白い毛が前部から後部にかけて伸び、中央よりやや後ろで稲妻模様で繋がり、光の角度によっては構造色が見られる。ネックリングは白い毛で縁取られている。触肢付け根部分は白い毛で覆われ、先端は黒で覆われている。比較的よく見かけるのだが、よく見かけるがゆえに、あまり撮っていなかったのだが、探そうと思うと見つからず、そのまま時間が過ぎてしまっている。ケニアのシマウマやカナダのジリスやカケスと同じような状態。いつでも撮れるからいいや! と後回しにすると結局一枚もない、という有様。
多焦点合成の撮影では、そのどっしりとした体格と堂々たる物怖じしない性質から最もいいモデルさんになる種。
特に捕食シーンでは、微動だにしない食べっぷりなので、カラスハエトリの捕食シーンばかりが多くなる。見た目の無骨な感じはハエトリ界の重戦車といった趣である。実際、野生の中のカラスハエトリは、自分よりも大きな獲物を捕らえている様子を良く目にし、獰猛さでもデーニッツと並び、ハエトリの中で1,2を争うのでは、といった印象が強い。それでいて、指を差し出すとひょっこりと乗ってきたりして愛嬌のある一面もある。
雌雄ともにずんぐりと角ばった体型で全体的に平べったい印象を受ける。オスは赤黒い地肌に黒い毛。腹部には人の上半身を描いたような模様が白い毛で縁取られているのが典型のようだが、一様ではないようだ。メスは同じく赤褐色の地肌で全身をベージュ系の毛が覆っている。腹部背側には、薄く白い線が4本、横に通り、 左右対称にカプチーノアートのように尾部に向けて引いたような模様が見受けられる。
ハエトリ界きってのエンターティナー。いつでもどこでもオスもメスも生まれた時からバンザイしている。まるでスポットライトに当たり観客に応えるかのような堂に入った大スターのようで、撮影していて最も楽しい種だ。撮っていて楽しい種ではあるが、アリグモかアオオビかというくらい落ち着きのないハエトリなので、長い時間かけてチャンスを狙う。
オスは春から初夏にかけて、メスは幼体も含めて、春から秋まで見ることができる。雌雄の違いを外観で判断するのは触肢も似ているので、比較的難しい。オスは第1脚に飾り毛を生やしているのに対して、メスはない。
アリが大好物だが、アリを専食というわけでもなく、ハエなどを食べている様子も観察できるが、アリの隊列の傍でよく目にする。アリの狩人としては優秀なハンターで、アリの触覚に一瞬で噛み付き、毒を注入すると、パッと離れ、様子を伺う。毒が回り、朦朧としたところで仕留める。一連の動きを見ていると、華麗な動きで、見事としか言いようがない。ただ、その間もバンザイしているところが見ていて可笑しい。アリが隊列を組んでいる場所でよく見かけるほか、柵や杭などの人工物の上でバンザイしながら動いている様子を目にする。
春先から夏にかけて、草木のかかった手摺りや柵、杭の上なのでよく見かける。特に春先には、オスの個体数が多い印象。メスは少しタイミングが遅れて出現する傾向が強い印象がある。イナズマハエトリと全体の姿形が似ているのだが、当種のオスは腹の背側がベージュ一色なのに対し、イナズマは焦げ茶色の毛に白い毛が縁取っているので見分けるのは比較的容易だ。またイナズマのオスは白い眉が見られるのと触肢に白い毛で覆われているが当種は触肢は黒、眉のような毛もないのが見分けるポイントの一つ。メスもイナズマのメスに似ていて、混同しやすいが当種のメスの腹部はクリーム色の地肌に白い毛、背側に黒い毛で斑点が散りばめられている。私のクモ採取している場所では、イナズマよりもトサハエトリの方が優勢な印象がある。
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